一戸建てリフォームと耐震

新築の注文住宅は、建築基準法や住宅金融支援機構の仕様書に基づいて耐震構造で建築されていますが、建築基準法が改正され耐震基準が強化される1981年6月以前に建築された住宅は台風や地震に対して非常に脆弱とされています。更に、1981年6月以前の住宅は、築年数が古く建物の構造が脆弱なだけで無く、雨漏りや湿気により住宅の土台や躯体が腐敗していたり、シロアリの被害にあっていたりしているので、家屋自体の耐久性に問題があり、耐震性能が非常に低くなっています。実際に、1995年の阪神淡路大震災では、1981年6月以前の住宅の倒壊率及び半壊率が非常に高かった事が分かっています。現在では、1995年の阪神淡路大震災や2011年の東日本大震災以降、各区市町村では耐震診断や耐震改修など関する費用の一部を助成する耐震化助成制度が強化されており、100万を超える助成金を受ける取る事が出来る市町村もあります。家屋の耐震診断は、設計図や増改築履歴などを調査する予備審査と建物自体を調査する現地調査に基づき、耐震性能を倒壊しない1.5以上、一応倒壊しない1.0以上1.5未満、倒壊するリスクのある0.7以上1.0未満、倒壊するリスクが高い0.7未満の4段階で明示し、1.0未満の場合には耐震対策が必要となります。

その為、一戸建てのリフォームでは間取りの増築や老朽化した箇所の補修工事だけで無く、耐震工事を望む人が増加しています。一戸建ての耐震リフォームでは、基礎補強や足下補強、壁の補強、床面補強、屋根材の見直しなど様々な耐震工事があります。特に古い木造家屋では、セメント系化粧スレートの5倍〜8倍と非常に重い日本瓦を使用している為、家屋の重心が上部に来てしまう事で地震の揺れに対する応力が弱く、家屋が倒壊してしまうので軽量な屋根材と交換する耐震工事が多く行われています。耐震工事は、家屋の躯体や土台の補強だけでは無く、家屋が立っている地盤にも注意する必要があります。

特に都市部の多くは、揺れを大きくする軟弱な地盤地域が多いので、一戸建てのリフォームの際には壁量を極力増やす方向で設計され、少しでも採光を確保する方法で行われています。又、一戸建てのリフォームではあまり見かけ無い設計ですが、1階より2階部分が飛び出るオーバーハングや柱で2階部分を支えるデザイン重視の耐震性を著しく低下させるリフォームは極力避けるべきです。