一戸建てリフォームと断熱

日本の家屋は、昭和25年に建築基準法が公布されるまではどんな場所でもどんな家屋でも建築可能でしたが、建築基準法によりある程度常識的な家屋の建築スタイルが定着して行きましたが、断熱は1979年に住宅金融公庫の仕様書で断熱が奨励され、1989年に住宅金融公庫で断熱が義務化されるまでほとんどの家屋で行われていなかったのが現状です。その為、現在でもリフォームを行う一戸建ての中には、一切断熱が行われていない一戸建てが数多くあり、断熱材が充填されていない事にさえ気付いていない人も多くリフォーム業者から事実を知らされ、慌ててリフォームを機に壁や床下、屋根裏などに断熱材を充填するケースが多くあります。現在では、注文住宅や分譲住宅などの新築物件には、9.5mm以上のプラスターボードと厚み75mm以上のグラスウールが断熱と防火の為に充填されていますが、住宅の高気密化により断熱材であるグラスウールが大きな問題となっています。

グラスウールは、ガラス繊維を布団の様にした断熱材であり、高い断熱効果だけで無く、内外の騒音を吸音する防音効果もある事から多種多様な建築物に用いられている建築資材です。しかし、グラスウールは普段使用している布団の様に湿気を含めば非常に重くなり、湿気を含み続ければカビを多量に発生させてしまいます。その為、現在の気密性の高い住宅の壁内では結露が頻繁に発生する季節があり、その湿気を吸着したグラスウールが非常に重くなり壁内で落下します。落下したグラスウールは、折り重なってしまう為に外壁と内壁のプラスターボードに密着し湿気を発散し難くなり、長期にわたり湿気を蓄えてしまう為にカビを発生させ、躯体に湿気を与える事で白蟻を呼び寄せたり、躯体自体を腐敗させ家屋に大きなダメージを与えてしまいます。その為、リフォームの際に解体してみて初めて腐敗や白蟻に気付く事が多くあり、補修費用が非常に高くなる事があります。又、グラスウールに発生したカビは胞子を空気中に放出する為、特に小さな子供がアレルギーを発症するケースがあります。又、グラスウール自体は、ホルムアルデヒドの放散の区分では制限なしに使用出来ますが、一部のグラスウールには第2B群に分類される発がん性があるので注意する必要があります。

現在では、グラスウール以外にセルロースファイバーや押出法ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォームなど断熱材を選択する工務店や施主が増えています。一戸建てのリフォームを依頼する際には、優良業者を選定するだけで無く、トラブル回避やリフォーム費用軽減の為に自分自身も自分の家を自分なりに把握しておく必要があります。